オリオン宇宙船の初打ち上げまで、あと1年

Delta IV / Orion launch
Image credit: NASA
2013年も9月に入り、アメリカの新型宇宙船オリオンの初打ち上げまで、あと1年に迫った。
オリオンは現在NASAとロッキード・マーティン社が開発中の宇宙船で、「NASAの宇宙船」としてはスペースシャトルの後継機にあたる。しかし地球低軌道までにしか人を運べなかったシャトルとは違い、オリオンはアポロ宇宙船のように月へ、そしてさらにその先の火星や小惑星へも人を運ぶことができる宇宙船として開発が進められている。
開発が順調に進めば、オリオンの最初の試験飛行は2014年9月に試みられる予定となっている。
オリオン宇宙船は、2004年1月にジョージ・W・ブッシュ大統領が提言した新宇宙政策(Vision for Space Exploration)に呼応する形で始まった、NASAのコンステレーション計画の下で開発が決まった宇宙船CEV(Crew Exploration Vehicle)を、その起源としている。CEVにはオリオンの名称が与えられ、近々引退するスペースシャトルの後を継ぐと共に、2020年頃に人類を再び月に送り込むために使用するとされた。オリオンと同時に、月着陸船アルタイル、そしてオリオンを打ち上げるロケットのアレスI、オリオンを月に向かう軌道に乗せるためのロケット(Earth Departure Stage、EDS)やアルタイルを打ち上げるための大型ロケット・アレスVの開発も始まった。
コンステレーション計画の肝は、スペースシャトルで使われていた部品などを活用してロケットなどを開発、できる限り時間とお金を節約して月に行こうというものであった。しかし計画発表当初から、無理ではないかという多くの批判に晒され、そして実際に開発は遅れに遅れ、2009年には第三者による独立審査委員会、通称オーガスティン委員会が見直しを提言する報告書を発表する。
2010年1月、バラク・オバマ大統領はコンステレーション計画の中止と、新しい宇宙政策を発表する。これはコンステレーション計画のように急いで月に行こうとするのではなく、まず大型ロケットの開発や、老朽化しつつある地上設備の更新などをじっくり時間をかけて行い、足場を固めてから火星や小惑星などを目指そうという計画であった。これを受け、NASAはアレスやアルタイルの開発を中止したが、オリオンは「国際宇宙ステーション(ISS)からの緊急帰還用」として開発を続行、また実際の開発と製造を担当しているロッキード・マーティン社では、独自の商業宇宙船としてオリオン、もしくはその軽量型を開発する方針を固め、試験設備を新設し開発を継続、さらにはオリオンを使った有人小惑星探査の構想まで発表した。
2011年5月、NASAはオリオン計画を仕切り直す形で新しい宇宙船MPCV(Multi-Purpose Crew Vehicle)の開発を発表する。MPCVはかつてのオリオンよりも、月より先の火星や小惑星への有人飛行に主眼を置いた計画となり、さらにその後、オリオンの名前も受け継がれることとなった。
オリオンの初飛行は今のところ、2014年9月に予定されている。これは探検飛行試験1(Exploration Flight Test 1、EFT-1)と呼ばれ、大型の人工衛星の打ち上げで使われているデルタIVヘビーロケットに無人のオリオンを搭載して打ち上げ、地球周回軌道を1周した後、遠地点高度約6,000kmまで上昇、そして秒速約9kmで大気圏に再突入し、太平洋に着水する予定となっている。これによりオリオンの電子機器や耐熱システム、パラシュートなどが設計通り機能するかが試験される。
その後はEFT-1の結果を受けてさらに開発が続けられ、2017年12月17日には新型ロケットSLSを使ってのオリオンの試験飛行が実施される予定だ。探検ミッション1(Exploration Mission 1、EM-1)と呼ばれるこの飛行は、無人のオリオンを月まで飛ばし、地球に帰還させる計画である。
そして2021年には探検ミッション2(EM-2)が実施される予定となっている。EM-2では4人の宇宙飛行士を乗せたオリオンをSLSで打ち上げ、月周回軌道で4日間を過ごした後、地球に帰還する、計14日間のミッションになる計画だ。
写真=NASA
■Orion Multi-Purpose Crew Vehicle | NASA
http://www.nasa.gov/exploration/systems/mpcv/index.html

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