Delta IV Heavy/NROL-65 launch
Image credit ULA
ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社は8月28日、アメリカ国家偵察局(NRO)の偵察衛星NROL-65を搭載したデルタIVヘビーロケットの打ち上げに成功した。偵察衛星の打ち上げであるため打ち上げの詳細は明かされていないが、冷戦期より他国を監視し続けてきた偵察衛星KH-11の新型機かつ、最後の打ち上げでったとされる。
NROL-65を搭載したデルタIVヘビーは、太平洋夏時間8月28日11時3分(日本時間8月29日3時3分)、カリフォルニア州にあるヴァンデンバーグ空軍基地のSLC-6から離昇、偵察衛星であることからその後の詳細は明かされなかったが、ULA社は打ち上げは成功したと発表した。
NROL-65はNROの偵察衛星であるということ以外、情報は明かされていないが、打ち上げられた場所や使われたロケット、そして過去のNROの衛星などからある程度推察は可能だ。
まず打ち上げが行われたのは地球を南北に回る軌道(極軌道)への打ち上げに適したヴァンデンバーグ空軍基地であり、実際にロケットは射場から南南西へ、すなわち極軌道に向かう方向へ飛翔した。また今回の打ち上げに使われたデルタIVヘビーは、現在世界でもっとも強力な打ち上げ能力を持ち、極軌道へは約20tの衛星を打ち上げることができる。言い換えれば、今回打ち上げられたのは、それだけ大きな衛星であったということになる。
NROが運用する大きな極軌道衛星といえば、過去には光学偵察衛星KH-11か、レーダー偵察衛星ラクロスぐらいしかない。しかしラクロスは計画が終了し、現在は後継機のFIA-Rへの置き換えが始まっており、そしてFIA-RはデルタIVヘビーが必要なほどの大きな衛星ではない。またそれ以外に新しい巨大な偵察衛星を開発する計画があるという情報もない。したがって今回打ち上げられたのはKH-11であったと推察することができる。
KH-11は世界でもっとも進んだ偵察衛星で、主にソビエト連邦を監視するために開発された。その分解能は、理論上は15cmを達成しているとされる。KHとはKey Hole(鍵穴)の略で、鍵穴から家の中を覗き見るという意味合いが込められている。機体の外見は、直径約2.4mの鏡を持つ全長約20mのカセグレン式望遠鏡を中心に、両脇に太陽電池パドルを持つとされる。またハッブル宇宙望遠鏡はKH-11から派生して開発されたとされており、その姿もよく似ているともされる。
KH-11の1号機は1976年に打ち上げられ、大きく4回の改良が加えられつつ、今日までに16機が打ち上げられている。
なおKH-11の打ち上げは今回で最後となり、またキーホールという名前を持つ偵察衛星としても最後となる予定で、今後は後継機のNGEO(Next-Generation Electro Optical、次世代電子光学)計画に取って代わられるとされる。
デルタIVヘビーは地球低軌道に約20t、静止トランスファー軌道へは約13tと、現在運用されているロケットの中でもっとも大きな打ち上げ能力を持つロケットで、その外見もCBCと呼ばれる第1段を、その両脇に1基ずつ、計3基並べるという、実に壮観なものである。2004年12月の打ち上げ以来、今回が7回目の打ち上げとなった。なお1回目の打ち上げは衛星を予定より低い軌道に投入してしまい、完全な成功とは言い難い結果に終わっている。
またデルタIVヘビーは、現在2014年に計画されているアメリカ航空宇宙局(NASA)の新型宇宙船オリオンの試験飛行ミッション、EFT-1(Exploration Flight Test 1)にも使われる予定だ。
なお、デルタIVヘビーの打ち上げでは、離昇時にロケットの周囲に漂う水素ガスが燃え、機体の表面を黒く焦がしてしまう現象が起こることがお馴染みであったが、今回から点火手順が変更され、右側のCBCのエンジンを従来より2秒前に点火することで、これを緩和する試みが実施された。
■:::: United launch Alliance, LLC :::: – 152
http://www.ulalaunch.com/site/pages/News.shtml#/152/

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