三菱重工と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は今日、情報収集衛星レーダ4号機と実証衛星の2機の衛星を搭載したH-IIAロケットの打ち上げに成功した。

2機の情報収集衛星を搭載したH-IIAロケットは、1月27日13時40分、鹿児島県にある種子島宇宙センターの吉信第1射点から離昇した。その後の発表によれば、ロケットは順調に飛行し、衛星を予定通りの軌道に投入、打ち上げは成功したとのこと。

情報収集衛星は内閣衛星情報センターが運用する衛星で、海外の軍事基地などの監視など安全保障に関する目的、また国内外で大規模な災害が起きた際に情報を収集するために使われる衛星だ。そのような目的の衛星は、他国では偵察衛星と呼ばれるが、日本ではそう呼ばれたことはない。

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情報収集衛星は大きく2種類、光学衛星とレーダー衛星が存在し、前者は光学センサー(言い換えればカメラ)を使って地上の物体を撮影し、後者はレーダーを使って撮影する。光学衛星はレーダー衛星より地上の物体を細かく見分けられるが、撮影したい地域が夜だったり、あるいは上空に雲がかかっていたりすると撮影できない。レーダー衛星は、物体を見分ける能力は光学衛星より劣るが、夜間や天候が悪くても撮影することができる。

今回打ち上げられたレーダー4号機は1m以下の物体を見分ける能力を持つと言われている。実証衛星は将来の光学衛星の開発に向けた試験機として開発され、40cmの物体を見分ける能力を持つ光学センサーを持つと言われる。これは現在、商用の地球観測衛星としては最高の性能を持つジオアイ1と同等の能力で、得られた実績は来年度に打ち上げ予定の光学5号機の開発に生かされる。ともに衛星の大きさや質量、投入された軌道は明らかにされていない。

情報収集衛星は2003年3月28日、光学1号機とレーダ1号機を同時に打ち上げたことから構築がはじまった。以来、光学衛星2機、レーダー衛星2機の、計4機体制を目指して開発と打ち上げが続けられている。4機あれば、最低1日1回、決まった地域の上空を通過するため、最低限偵察衛星としての運用が可能になるからだ。

しかし2003年11月29日に、その4機が揃うはずだった光学2号機とレーダ2号機の打ち上げに失敗、2007年に新しいレーダ2号機を打ち上げるも、その直後に軌道上のレーダ1号機が故障し運用できなくなり、さらにレーダ2号機も2010年に故障し運用ができなくなるなど、今日に至るまで4機体制が実現したことはなかった。

今回の打ち上げ成功で、軌道上に光学衛星の2号機、3号機、4号機、実証衛星、そしてレーダ衛星の3号機、4号機が揃い、ようやく光学衛星とレーダー衛星がそれぞれ2機以上と言う体制が整った。ただし光学2号機は設計寿命を超えている。

H-IIAロケットは今回が22機目の打ち上げとなり、また7号機以降、16機連続の成功となった。

 

■JAXA|H-IIAロケット22号機による情報収集衛星レーダ4号機および実証衛星の打上げ結果について
http://www.jaxa.jp/press/2013/01/20130127_h2af22_j.html

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