NASA、新たな火星探査ローバーを2020年に打ち上げへ

Curiosity's Self-Portrait by Curiosity Rover Arm Camera
Image credit: NASA
 米航空宇宙局(NASA)は現地時間4日夜、新しい火星探査ローバーの計画を発表した。2030年代の有人火星探査の実現に向けた礎となるべく、2020年の打ち上げを目指す。
 この発表において、NASAの科学部門のチーフを務めるジョン・グルンスフェルド氏は、ユーモアを交えてこう述べた。「火星探査計画を再構築するという挑戦は、キュリオシティの”恐怖の7分間”を経て、”革新の7年間”の始まりとなりました」。
 「恐怖の7分間」とは、今年8月、NASAの火星探査機キュリオシティが火星着陸を行う際に盛んに喧伝された謳い文句で、火星の大気へ突入し、地上に降り立つまでの時間の事を指す。キュリオシティにはスカイ・クレーンと呼ばれる、今までに無いまったく新しい着陸技術が使われており、本当にうまく着陸できるのか、開発者でさえ不安に思っていた。
 だが無事に着陸を成功させ、現在も活躍を続けている。キュリオシティの着陸成功によりスカイ・クレーンの技術が使える事が実証された事で、NASAはこれまで以上に複雑で、大掛かりな火星探査が可能になった。それまでのNASAのローバーはエアバッグを用いた着陸を主に行っていたが、着陸させられる探査機の大きさに制約がある一方、NASAはより大きなローバーを造りたがっていた。その制約を打破すべく考え出されたのがスカイ・クレーンを使った着陸だったのだ。
 キュリオシティが恐怖の7分間を乗り越えた事で、NASAはその技術を使い、大規模な火星探査が行えるようになった。事実、新しいローバーの大部分はキュリオシティを基に設計され、部品もキュリオシティの製造時に予備として造られたものが使用される予定。またキュリオシティの設計の肝であった原子力電池(RTG)も同じく、予備として確保してある物が使われるとされる。一方で観測装置は最新のものが搭載される。車体側が大きく余裕があるため、搭載できる観測装置の制約は軽くなっている。また製造コストは15億ドルと見積もられ、キュリオシティの25億ドルと比べると安価に抑えられている。グルンスフェルド氏が「”革新の7年間”の始まりである」と述べた背景には、こういった事情がある。
 また新ローバーと合わせ、NASAがエクソマーズ計画に再参画する事も発表された。エクソマーズ計画は欧州宇宙機間(ESA)が主導する火星探査計画で、大型の周回衛星とローバーからなる。元々NASAはこの計画に参加していたが、2013年度のNASAの火星探査に関する予算が大幅に削られる事になったため一度脱退したという経緯がある。今回の発表では、2016年に打ち上げられるエクソマーズ計画の火星周回衛星に通信装置を、また2018年に打ち上げられる火星探査ローバーには宇宙生物学を調査する装置を提供するとされている。
 キュリオシティの火星着陸から数週間後には、NASAは2016年の打ち上げを目指し、火星の地中を探査する探査機インサイトを開発すると発表、そして来年には火星の大気を観測する探査機メイブン(MAVEN)の打ち上げも予定されている。さらにかねてからは2030年代に火星に人を送り込む構想も発表されている。
 NASAのチャールズ・ボウルデン長官はこの発表の中で、「この新ローバーと、2030年の有人火星探査に向けて行われている他の重要な計画によって、私たちが火星探査において、世界のリーダーとして居続ける事を保証します」と述べている。
写真=NASA
■NASA – NASA Announces Robust Multi-Year Mars Program; New Rover to Close Out Decade of New Missions
http://www.nasa.gov/home/hqnews/2012/dec/HQ_12-420_Mars_2020.html

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