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コーネル大学は8月13日、生物が放つ光を利用した地球外生命探査の手法について検討したJack O’Malley-James氏らの研究成果を発表しました。研究内容は論文にまとめられ、同日付で公開されています。

フレアに負けず輝く惑星がどこかにあるのかもしれない

■サンゴの生物蛍光に着目

地球のサンゴは、紫外線や青色光を受けると光を発する蛍光タンパク質を持っています。これは生物にとって有害な紫外線を害のない光に変換する仕組みであると同時に、サンゴの生育に必要な藻類を招き寄せる効果ももたらします。このような仕組みは生物蛍光(biofluorescence)と呼ばれています。

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今回O’Malley-James氏らは、「紫外線に反応して蛍光を発する」というサンゴの特性に注目しました。もしも地球以外の天体、たとえば太陽系外惑星にもサンゴのような「紫外線を無害な波長に変換して発光する」生物が存在していた場合、その光を地球外生命体の探査に活用できるのではないかと考えたのです。

蛍光タンパク質によって光を発するサンゴの例

■M型星のフレアが系外惑星を蛍光で輝かせるかもしれない

系外惑星は、太陽(G型の恒星)よりも小さなM型の恒星の周囲で数多く発見されています。M型星のハビタブルゾーンに位置する系外惑星もたくさん見つかっていますが、M型星は活発な活動で知られており、地球型の生物にとって危険な強いフレアもひんぱんに発生していると見られています。

O’Malley-James氏らは、このような環境に置かれている系外惑星でこそ、生物蛍光をキャッチできるのではないかと見ています。主星であるM型星から放たれた紫外線に反応して発せられた蛍光を、地上や宇宙の望遠鏡でキャッチしようというわけです。シミュレーションの結果、仮に系外惑星全体に効率良く生物蛍光を行える生物が広がっていて、光をさえぎる雲がなかった場合、生物蛍光による光は地球から検出できるだろうと結論付けています。

研究チームが期待しているのは、現在南米のチリなどで建設されている次世代の超大型望遠鏡です。今後10年から20年の間に登場するこれらの望遠鏡は系外惑星のかすかな光をキャッチする能力も持つことから、生物蛍光による光を捉えられる可能性があるとしています。

なお、O’Malley-James氏は地球外生命探査の手法として、地球の植物にみられる近赤外線反射率の急激な変化(レッドエッジ)を利用する方法も提案しています。これらの手法によって地球外生命体が見つかる日が来るとすれば、そう遠くはないのかもしれません。

 

Image Credit: Wendy Kenigsberg/Matt Fondeur/Cornell University
http://news.cornell.edu/stories/2019/08/fluorescent-glow-may-reveal-hidden-life-cosmos
文/松村武宏

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