火星の特徴的な形のクレーターは、かつて海があった証拠かもしれない

フランス国立科学研究センター(CNRS)は7月12日、火星のロモノソフ・クレーターが浅い海で形成されたとするFrançois Costard氏らの研究成果を発表しました。研究結果は論文にまとめられ、6月26日付でJournal of Geophysical Researchに掲載されています。

砂嵐に覆われる火星。かつては浅いながらも海が広がっていたかもしれない(Credit: NASA, ESA, and STScI)

火星の標高はおおむね北半球が低く、南半球は高くなっていて、低い土地が広がる北半球にはかつて海が広がっていたとする説があります。いっぽう、現在火星に残っている水の量と宇宙空間に失われたと推計される水の量を合計しても低地を満たせるほどの水量にはならず、海はなかったとする説もあります。

今回Costard氏らの研究チームは、火星の一部のクレーターに見られる特徴的な地形に注目しました。

多くのクレーターはカルデラ火山の外輪山に似た比較的シャープで切り立った円形の縁を持っていますが、なかには同時代のクレーターに比べて縁の幅が広く、高さが低いクレーターも幾つか存在しています。

火星の北半球にあるコロリョフ・クレーターは険しい縁が取り囲んでいる(Credit: ESA/DLR/FU Berlin, CC BY-SA 3.0 IGO)

発表では、こうした幅広で低い縁を持つクレーターは地球にも存在するとしています。それはクレーターの成因となった天体が浅い海に衝突し、一時的に空洞が形成されるようなケース。空洞が崩壊して侵食を受ける過程で、クレーターの縁が低く幅広な姿になるといいます。

代表例として挙げられているのは、今からおよそ6600万年前、現在のユカタン半島北端を中心に形成されたチクシュルーブ・クレーター。恐竜絶滅の原因と目される天体衝突で生じたクレーターです。

研究チームは、火星の北半球から特徴的な縁を持つクレーターを10個ピックアップ。その位置と、同チームが以前に研究した津波堆積物らしき特徴を持った地形との位置関係を詳しく調べたところ、およそ30億年前の衝突で生じたとされる直径120kmのロモノソフ・クレーターが津波の発生点であることを突き止めました。

NASAの火星探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー」が測定したデータをもとに、ロモノソフ・クレーター周辺の標高を色分けした画像

周回探査機が撮影した地形の写真や探査車によって得られた地表サンプルの分析結果などから、かつて火星の表面にはある程度の水が存在していたことが確実視されていますが、今回の研究結果は火星の北半球には約30億年前まで浅い海が広がっていた可能性を改めて示すものとなります。探査機の着陸地点や周回軌道からの観測対象など、今後の火星探査計画に影響を与えることになるかもしれません。

 

Image Credit: NASA/JPL/USGS

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文/松村武宏

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