NASAが公開したこちらの動画は、天の川銀河の中心に存在する超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」の周囲数光年に渡るガスの動きを、ブラックホールを中心とした360度の全天球映像として再現したものです。NASAのX線観測衛星「チャンドラ」による観測データやスーパーコンピューターによるシミュレーションデータをもとに作成されました。

色の違いは、ガスの温度の違いです。赤は数万度のガスが発する紫外線青とシアンは数千万度のガスが放つX線を示しています。赤の紫外線データをもとにした360度映像は昨年1月すでに公開されていましたが、今回は新たにX線のデータが追加された形です。

ガスの上下左右方向の動きは、ブラックホール(=映像を見ている視聴者)から離れたところではゆっくりとしています。しかし、ブラックホールに接近するにつれて、ガスの水平方向の移動速度も増していきます。ブラックホールの周辺にはガスなどの物質によって降着円盤が形成されますが、映像でもガスが右から左に向かってブラックホールの周囲を回るように高速で運動する様子を見ることができます。

動画は360度映像なので、再生中に指先やマウスカーソルで映像をドラッグすることで、視野を移動させることができます。スマートフォンのYouTubeアプリでCardboardアイコンをタップし、市販のVRゴーグルと組み合わせて再生すれば、首の動きに合わせて視野の向きを変えることも可能です。

筆者も100均の激安VRゴーグルで映像を再生してみましたが、首を回すだけでガスの動きを追うことができたり、降着円盤に沿って高いガスの密度が上下に目を向けると薄くなっていることがわかったりと、ブラックホール周辺の様子を観察できて興味深かったです。VRゴーグルをお持ちの方は、是非お試しを。

 

Image credit: NASA/CXC/Pontifical Catholic Univ. of Chile /C.Russell et al.
https://www.nasa.gov/mission_pages/chandra/news/galactic-center-visualization-delivers-star-power.html
文/松村武宏

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