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赤色矮星を公転するガス惑星の想像図(Credit: University of Warwick/Mark Garlick)ドイツのマックス・プランク天文学研究所は9月26日、従来の理論では予想されていなかったサイズの太陽系外惑星が見つかったことを発表しました

■太陽と木星の比率より4倍も大きな系外惑星

発見された系外惑星の名は「GJ 3512 b」地球からおよそ30光年先、おおぐま座の方向にある恒星「GJ 3512」204日周期で公転しています。

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GJ 3512 bの質量は最低でも木星の約半分(およそ46パーセント)とみられていますが、予想外だったのは主星であるGJ 3512との重さの比率です。

GJ 3512は太陽よりも小さな「赤色矮星」に分類される恒星で、その質量は太陽の12パーセントしかありません。今回見つかった系外惑星GJ 3512 bは、主星であるGJ 3512の270分の1以上の重さを持つということになります。

いっぽう太陽系の場合、木星の質量は太陽のおよそ1050分の1。主星に対する重さの比率を比べると、GJ 3512 bの比率は木星の4倍近くに達します。別の言い方をすれば、「太陽系に木星4個分以上の重さを持つ惑星が見つかった」ようなイメージです。

地球に近いサイズの系外惑星が7個も見つかっている恒星「TRAPPIST-1」などの例から、「小さな恒星である赤色矮星では、形成される惑星のサイズも小さくなる」と予想されてきました。今回の発見は、この予想を覆すものとして注目されています。

TRAPPIST-1(左端)と7つの系外惑星の想像図。赤色矮星ではこうした小さな惑星が形成されやすいと考えられてきた(Credit: NASA/JPL-Caltech)

■惑星のコアが最初に形成される「コア集積モデル」では説明できない

GJ 3512 bの軌道は、主星からの距離が0.2~0.5天文単位という楕円軌道(離心率およそ0.44)を描いています。研究チームは、過去に存在していた別の系外惑星がGJ 3512 bと相互作用した結果、一方は楕円軌道を描くようになり、もう一方は深宇宙に弾き出されたのではないかとしています。また、観測結果は、GJ 3512 bや弾き出されたものとはまた別の系外惑星が今も存在する可能性を示唆しているといいます。

惑星の形成に関する理論のひとつとして、生まれたばかりの恒星の周囲を取り巻くガスや塵の集まり(原始惑星系円盤)のなかで岩石質の微惑星が誕生し、周囲の塵やガスを急速に集めていく「コア集積モデル」が提唱されています。

しかし、Juan Carlos Morales氏率いる研究チームによると、GJ 3512ほど小さな恒星にGJ 3512 bのような惑星が2つも3つも形成されるケースは、コア集積モデルでは説明できないといいます。

研究チームは、GJ 3512 bはコア集積モデルではなく、主星から10天文単位以上離れた場所にあったガスや塵の集まりが自身の重力で収縮することで形成されたと予想。そのあとで主星に近い現在の軌道まで移動してきたとすれば、理論と観測結果の矛盾も解消されるとしています。

 

Image Credit: University of Warwick/Mark Garlick
http://www.mpia.de/news/science/2019-06-GJ3512b
文/松村武宏

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