スペースXが実用化し、ブルー・オリジンも成功しているロケットの着陸と再使用。そんな中、中国は2020年〜2021年の初打ち上げを目指す中型ロケット「長征8号」にて、第1段の再使用を計画していることを明かしました。
この計画は中国運載火箭技術研究院(CALT)のLong Lehao氏が2018年4月24日、中国ハルビンで開催された宇宙開発系カンファレンスにて公開したものです。長征8号は高度700kmの太陽同期軌道に4.5トンの打ち上げ能力を持つロケットで、政府系と商業系の両方での受注獲得を目指します。
そして北京航空航天大学のHuang Jun氏によれば、長征8号は垂直打ち上げと垂直着陸(VTVL)による再使用を目指すというのです。長征8号のコア(第1段)の基本設計は「長征7号」ロケットに極めて近く、第2段は「長征3号A」ロケットをベースとします。さらに、おそらく「長征11号」ロケットのものをベースとした固体ロケットブースターを2基利用する構成となるようです。着陸にはエンジン噴射と着陸脚、グリッドフィンが用いられ、一方でブースターはパラシュートで降下する可能性が指摘されています。
さらに昨年には上海航天技術研究院(SAST)が、「長征6号」ロケットにて2020年代にロケット第1段の再使用を計画していると発表しています。そしてCALTやSASTの上部組織となる中国航天科技集団(CASC)も2017年、2035年までにすべてのロケットの再使用を実現したいと発表しているのです。
Image Credit: China Academy of Launch Technology
■China to Test Rocket Reusability With Long March 8 Booster
https://www.space.com/40477-china-reusable-rocket-test-long-march-8.html
■CHINA IS WORKING ON THEIR OWN REUSABLE ROCKET: THE FIRST STAGE OF THE LONG MARCH-8, WHICH COULD LAUNCH IN 2021
https://www.universetoday.com/139191/china-is-working-on-their-own-reusable-rocket-the-first-stage-of-the-long-march-8-which-could-launch-in-2021/
(文/塚本直樹)
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