海外顧客からの連続受注へ踏み出せるか? 三菱重工H-IIA、2020年にインマルサット社次世代通信衛星を打ち上げ

2020年に打ち上げ、移動体向け通信サービスを開始するInmarsat-6シリーズ衛星

 

2018年1月25日、英通信衛星企業インマルサット社と三菱重工業は、2020年に打ち上げが予定されている次世代通信衛星「Inmarsat-6」初号機のH-IIAによる打ち上げについて説明会を開催した。

英国インマルサット社は、2020年から携帯電話、船舶や航空機などの移動体向けに通信サービスを提供する6世代通信衛星「Inmarsat-6」シリーズを打ち上げる。L帯とKa帯の周波数に対応し、Ka帯による高速通信に加え、IoT向け機器通信サービスにも対応するという。初号機Inmarsat-6 F-1は2020年に打ち上げの予定で、インマルサット社と三菱重工は2017年9月に打ち上げ契約締結を発表していた。

今回、日本での発表にはこれまで文書で公表されていた事実から大幅な進展はないものの、仏エアバス ディフェンス アンド スペース社が製造中の衛星は、EuroStar E3000e衛星バスをベースにした全電化衛星であること、打ち上げ時重量はおよそ7トンであること、H-IIA 204コンフィグレーションを使用することが明らかになった。

打ち上げサービス企業選定の決め手として、インマルサット社のルパート・パースCEOは、三菱重工が打ち上げ成功率、オンタイム打ち上げの点で「アリアンスペース、スペースX、シーローンチと比肩しうる」実績を持つこと、また価格面でも「競争的な価格を提示」したことを明らかにした。

昨年9月の打ち上げ契約締結の際、宇宙開発ニュースサイトSPACEFLIGHT101は、通信衛星打ち上げの競合であるSpaceX社のFalcon 9ロケットとロシアのプロトン・ロケットは、打ち上げ失敗による信頼性への懸念があるとの見方を示していた。また、アリアンスペース社は昨年9月の時点で2020年代初頭まで53回の打ち上げを受注(その内Ariane 5は5回)していると発表している。

三菱重工は、2015年にカナダの通信放送衛星Telstar 12 VANTAGEの打ち上げを成功させている。Telstar 12は、Inmarsat-6と同じシリーズのEuroStar 3000衛星バスを使用した衛星だ。2020年の静止通信衛星打ち上げは既にかなり立て込んでいるとみられるが、そうした中でInmarsat-6と同じ衛星バスの打ち上げ経験を持つH-IIAが相対的に魅力あるものになったとも考えられる。

三菱重工にとっては、海外の顧客からの衛星打上げ輸送サービス受注は、今回で5件目となる。世界の衛星通信企業が多く採用している衛星バスを取り扱った経験を積むことで評価を高め、Inmarsat-6衛星の2号機目以降の受注につなげられるか、期待が高まる。

インマルサット社のルパート・パースCEO

 

三菱重工業の渥美正博宇宙事業部長

Image Credit: Airbus Defence and Space, 秋山文野

 

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