ヨーロッパとロシアによる、火星探査プログラム「エクソマーズ」。10月には探査機「トレース・ガス・オービター(TGO)」の分離に成功し、続く着陸機「スキアパレッリ」の火星着陸を待つばかりでしたが、後に着陸機の火星への激突が確認されていました。そしてESA(欧州宇宙機関)は新たに、その事故原因が「機体高度の計算誤り」であったことを発表したのです。
スキアパレッリは火星への突入後、パラシュートの展開から切り離しとエンジンの逆噴射を行います。しかしナビゲーションシステムの過負荷により同機はなんと自身が「地中にいる」と判断し、パラシュートの切り離しとエンジン噴射の終了を早期におこなってしまったのです。
ESAの発表によれば、スキアパレッリは予定どおりに高度12kmにてパラシュートを展開し、7.8kmにて耐熱シールドを投棄。しかし慣性航法装置(IMU)がたった一秒間「回転レートが高すぎる」と計測。それを伝えられたナビゲーションシステムはスキアパレッリが「地中にいると判断」し、3.7kmにてパラシュートを切り離し30秒のはずがたった3〜4秒間だけエンジンを逆噴射。そして2000〜4000mの高度から火星へと激突したのです。
このような「機体高度の計算ミス」の発生は、以前より予想されていました。そしてこのスキアパレッリは2020年に火星へと送り込まれる探査車「エクソマーズ・ローバー」の実証実験も兼ねていたのです。今回は残念ながら着陸機が失われましたが、火星を周回する「トレース・ガス・オービター(TGO)」は無事に観測を続けています。今後センサーやナビゲーションシステムが改善されることにより、2020年の探査機の投入が成功することを楽しみにしましょう。
Image Credit: ESA/ATG
■Schiaparelli Mars lander crashed because it thought it was below ground
http://newatlas.com/esa-schiaparelli-mars-lander-crash-cause/46614/
最新記事
-
宇宙開発【速報】JAXA「イプシロンS」ロケット第2段の地上燃焼試験で異常発生2024.11.26
-
天文緻密で柔らかそうな印象の渦巻銀河「NGC 2090」 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影2024.11.25
-
打ち上げ情報スターリンク衛星打ち上げ成功(Starlink Group 12-1)Direct to Cell対応2024.11.25
-
打ち上げ情報ロケットラボ、フランスKinéisの人工衛星を打ち上げ2024.11.25
-
打ち上げ情報中国、地球観測衛星「四維高景2号03、04」の打ち上げに成功2024.11.25
-
宇宙開発【更新】ISSに到着したロシアの補給船「プログレスMS-29」で一時異臭と飛沫を確認2024.11.25