以前こちらでご紹介した「宇宙で膨らむエアドーム」、その打ち上げが近づいています。今週の金曜日となる4月8日、スペースX社はファルコン9ロケットで「ビゲロー膨張式活動モジュール(BEAM)」をISSへ向けて打ち上げる予定です。
このビゲロー膨張式活動モジュールは重量1,400kgで、宇宙飛行士が活動したり居住したりする膨張式モジュールが実現できるかの実証に利用されます。本体には気密性のある素材を採用。この素材はNASAが以前、膨張式の巨大居住区間「トランスハブ」の計画のために開発していたものです。
ビゲロー膨張式活動モジュールは最初しぼんだ状態で打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)に接続された後に空気を注入して膨張させます。膨張後の大きさは長さ4m、直径3.23m。そして設置後は2年間、宇宙飛行士によって安定性や空気の抜け具合、温度、宇宙線の影響が調べられます。その後、モジュールは大気圏に投入されて燃やされることになります。おお、なんだかもったいないような…。
NASAがなぜビゲロー膨張式活動モジュールに興味を持っているのかですが、このモジュールを構成する素材「ベクトラン」が従来のモジュールの壁に比べて「流星塵(宇宙を漂う細かいチリ)」への高い耐久性を示したからです。今回の実験が成功すれば、より安価で効率のよい宇宙船モジュールの建造が可能になります。さらに、火星を視野に入れた深宇宙有人探査にもこの膨張式モジュールの利用が計画されています。
膨らむ壁が硬い壁よりも頑丈だとは、なんだか不思議な感じがしますね。柔よく剛を制す、ってことでしょうか? なお、ビゲロー膨張式活動モジュールを搭載したファルコン9は4月8日の東部時間4時43分(日本時間の17時43分)」に打ち上げられる予定です。
Image Credit: NASA
■BEAM me up: Expandable habitat module headed to the ISS
http://www.gizmag.com/beam-iss-expandable-habitat/42629/