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国立天文台は2月17日、ハワイ・マウナケアにおける「30メートル望遠鏡」(TMT)の建設をめぐる問題についてコメントした。

これは2月11日にNHKが放送した「ニュースウォッチ9」の報道において、事実や国立天文台側の認識と異なる説明があったことを受けて発表されたもの。

TMTは国立天文台やカリフォルニア工科大学などとの国際協力で開発される巨大な望遠鏡で、2014年10月にハワイのマウナケア山頂で起工され、2024年の観測開始を目指している。しかし、マウナケアはハワイ先住民にとっての聖地でもあることなどため、建設差し止めの抗議が行われ、建設が中断するなどの問題も起きていた。そして昨年12月2日、ハワイ州最高裁判所はTMTを建設するための許可が無効であるとの判決を下した。

報道の中で、「マウナケアにおける望遠鏡の台数を13までとすると説明していたが、それをないがしろにして新望遠鏡(TMT)の建設を計画した」とされたことについては、天文学者の間でも地元でも13台という制限があるということ、またTMT完成までには既存の望遠鏡を一部撤去する必要があることも国立天文台をはじめマウナケアの望遠鏡関係者はよく認識しているとした上で、1台については2016年に撤去を開始する計画であり、また昨年にはさらに3台の望遠鏡の撤去計画がハワイ大学から示されていると説明している。

また「地元の人々の意見を聞かぬまま建設許可を得て計画を進めた」と説明があったことについては、2009年にマウナケアをTMTの建設候補地として選定する以前から、地元での対話を長く続け、要望をできるだけ取り入れられるよう努力してきたとし、公聴会が複数回開催したとし、地元の方の多様な意見をすべて満たすことができていないことは事実であるとした上で、「意見を聞かぬまま計画を進めたという表現は事実に反する」とコメントしている。

「ハワイ州最高裁判所で建設許可の取り消し」に関する報道については、建設許可(建設のための保護地区利用許可)が無効になったのは事実であるとしつつも、この判決内容はハワイ州土地天然資源委員会による手続きに不備があったため差し戻すというものであり、建設計画そのものを否定する内容でないと表明。現在、適正な手順での手続きの準備を進めており、TMTは再度保護地区利用許可を得る予定だとしている。

ただし、この判決の背景に、地元での反対運動が活発になったことがあることは認識しており、保護地区利用許可の再審査の過程では、地元の方のご意見にこれまで以上に耳を傾けていきたいと考えている、としている。

また、もともと国立天文台は「すばる」望遠鏡の建設当時から、マウナケアの他の天文台と協力しながら、地元の方との交流や教育事業への協力に力を入れてきており、ハワイ文化と天文学を合わせて学べる場の構築に尽力しているとし、地元の理解を得るためにハワイ観測所が新たな取り組みを始めているという報道内容は事実ではあるものの、これまでの努力が全くなかったかのような描き方は大きな誤解を招くものと考えると表明している。

Image Credit: 国立天文台

■ハワイ・マウナケアにおけるTMT建設に関する報道について | 国立天文台TMT推進室
http://tmt.nao.ac.jp/info/555

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