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通信途絶状態が続いている宇宙航空研究開発機構(JAXA)のX線天文衛星「ひとみ」が、回転しながら飛行していることを示唆する映像が、国内外で撮影されている。

ナショナル・ジオグラフィックのニュースサイトには、アメリカのアリゾナ州で撮影された「ひとみ」の動画が掲載されている。撮影したポール・マーレイ氏はNASAのフライトコントローラーで、アマチュア天文家でもある。

Video Shows Troubled Japanese Spacecraft Tumbling in Orbit

動画の中で「ひとみ」は、灯台のように明るくなったり、暗くなったりを繰り返している。衛星は太陽光を反射して光るため、このような光り方をしているのは衛星が回転している可能性が高い。「ひとみ」は本来、望遠鏡を搭載した本体を観測する天体に向け、太陽電池を太陽に向けて飛行するように作られており、このように回転して飛行することはない。同様の観測は国内外の天文家で行われており、衛星の明滅は5秒から10秒の間隔と報告されていることから、回転の周期もこの程度と思われる。

一方、スペースデブリなどの監視を行っているアメリカ国防総省戦略軍統合宇宙運用センター(JSpOC)は、「ひとみ」のブレークアップ(分解、分離)は日本時間の3月26日10時42分頃という分析結果を公表した。

「ひとみ」の周囲には「ひとみ」から分離したと思わる物体が観測されているが、地上のレーダーで観測可能な物体は最小で10cm程度のため、これより小さな物体も存在している可能性がある。一方、天文家などの光学望遠鏡による観測では、「ひとみ」本体以外の物体は観測されていない模様だ。

NASAゴダード宇宙飛行センターの山口弘悦氏は自身のフェイスブックで、「ひとみ」が破壊された(broken)というのは憶測に基づく誇大情報であり、見掛けたら広めずに訂正して欲しいと呼び掛けた。このことについてハーバード・スミソニアン・センターのジョナサン・マクドウエル氏はツィッターで、「ひとみ」が「破片を放出した」と「バラバラになった」とでは大きく異なると説明した。

「ひとみ」はJAXAだけでなく、NASAや欧米の大学などの研究機関も参加して開発されており、観測成果は国際的に天文学の研究に利用される計画であることから、JAXAの手で「ひとみ」が機能を回復することへの期待は非常に高い。

 

Image Credit: 池下章裕、JAXA

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