中国、また新型ロケットを打ち上げ 固体ロケットの「長征十一号」が初飛行

0925cz-11

中華人民共和国(中国)は2015年9月25日、新型の固体ロケット「長征十一号」の打ち上げに成功した。中国は9月20日にも新型ロケット「長征六号」の打ち上げに成功したばかりで、わずか1週間たらずの間に、2機の新しいロケットが誕生したことになる。

ロケットは中国標準時2015年9月25日9時41分(日本時間2015年9月25日10時41分)、甘粛省にある酒泉衛星発射センターを離昇した。その後、中国政府やメディアは、打ち上げは成功し、ロケットに搭載されていた4機の小型衛星が予定通りの軌道に乗ったと発表している。なお、打ち上げ時の写真は、公式には公開されていないが、関係者か宇宙ファンが勝手に撮影したと思われる写真がインターネットに出回っている。

また、米軍の宇宙監視ネットワークも、長征十一号の最終段と、4機の衛星が軌道に乗ったことを確認している。公表された軌道データによると、衛星は高度約480km、軌道傾斜角約94度の太陽同期軌道に乗っている。また長征十一号の最終段と思われる物体は、近地点高度を142kmまで下げており、これは大気圏に早期に再突入させて処分することを狙い、衛星分離後に軌道を下げた結果と考えられる。

搭載されていた衛星は、「浦江一号」と、3機の超小型衛星の計4機だとされる。浦江一号は上海航天技術研究院が開発した衛星で、新しく開発された小型のコンピューターや、規格化された機器、Wi-Fiを使った衛星内の通信など、新しい技術の実証を目的としているとされる。寸法や打ち上げ時の質量は不明だが、公開されている画像から、全長は人の背丈ほどあることがわかっている。また人民網が報じたところによると、3Dプリンターで造られたチタン製のアンテナを搭載しているという。

3機の超小型衛星(キューブサット)は「上科大二号A」と「上科大二号B」、「南理工一号」と呼ばれており、この3機は編隊を組んで軌道を周回し、新しく開発された、衛星と衛星との間の通信技術を実証することを目的としているとされる。

●長征十一号

長征十一号は中国航天科技集団公司の中国運載火箭技術研究院が開発した固体ロケットで、打ち上げ能力は地球低軌道に700kg、高度700kmの太陽同期軌道には350kgとされる。

中国航天科技集団公司によると、全長は全長は20.8mで、また「新浪」紙が報じたところによれば、第1段と第2段の直径は2m、第3段は1.4m、衛星フェアリングは1.6mだという。ただ、出回っている写真からは、フェアリングの直径は第3段と同じに見えるため、フェアリングの設計が変更されたか、あるいは直径などが異なる、複数の種類があるものと思われる。

ロケットは4段式とされ、1段目から3段目までが固体で、衛星フェアリングの内部に、小型の液体ロケットを用いた第4段をもっているという。これにより、第3段までの飛行で生じた誤差を、第4段で吸収し、衛星を正確な軌道に送り込むことが可能だとされる。このコンセプトは、欧州の「ヴェガ」ロケットや日本の「イプシロン」ロケットでも採用されている。第4段のエンジン名は「YF-50」とされるが、性能や使用している推進剤は不明である。

また固体ならではの即応性、すなわち災害や戦争などが発生した際に、短時間で観測衛星を最適な軌道へ打ち上げることができる能力をもつとされる。

一説には、大陸間弾道ミサイルの「東風31」から派生したともされるが、真偽のほどは不明である。ただ、東風31を製造しているのは、長征十一号と同じ中国運載火箭技術研究院であるとされるため、技術的につながりがあることは間違いないだろう。

中国はつい先日の9月20日にも、新型ロケットの「長征六号」の打ち上げに成功しており、わずか1週間たらずの間に、2種類の新しいロケットが誕生したことになる。ただ、長征六号は全段液体ロケットで、技術的にはまったく異なる。また長征六号も小型のロケットだが、打ち上げ能力は高度700kmの地球を南北に回る太陽同期軌道に最大1トンと、長征十一号の3倍近い能力をもっており、用途がかぶることはないと考えられる。

なお、中国は2013年9月25日と2014年11月21日に、新しい小型固体ロケットの「快舟」を打ち上げている。快舟は長征十一号よりも若干小型で、打ち上げ能力も小さいものの、能力的にはややかぶってはいる。

性能が似たロケットを並行して運用する理由は不明だが、快舟は長征十一号を開発した中国運載火箭技術研究院とはライヴァルにあたる、中国航天科工集団公司が開発したロケットであることから、異なる目的や需要があるものと思われる。

■长征十一号运载火箭首飞成功_中国航天科技集团公司
http://www.spacechina.com/n25/n144/n206/n214/c1038640/content.html

Image Credit: CALT

 

ページ上部へ戻る