「長征二号丁」ロケット、地球観測衛星「高分九号」の打ち上げに成功

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中華人民共和国(中国)は2015年9月14日、地球観測衛星「高分九号」を搭載した「長征二号丁」ロケットの打ち上げに成功した。中国は9月12日深夜(日本時間13日未明)にもロケットを打ち上げたばかりで、わずか1日半での連続打ち上げとなった。

ロケットは中国標準時2015年9月14日12時42分(日本時間2015年9月14日13時42分)、甘粛省の酒泉市にある酒泉衛星発射センターの2号発射台から離昇した。その後、中国国家航天局や中国国営メディアなどは打ち上げは成功と発表している。

また米国の宇宙監視ネットワークは、この時間帯に軌道に新たな物体が1つ(2015-047A)、追加されたことを検知しており、打ち上げが成功したことが裏付けられている。それによると、2015-047Aは近地点高度約617km、遠地点高度約664km、傾斜角約98.01度の、太陽同期軌道を周回している。なお、ほぼ同じ軌道にロケットの第2段機体も乗っているはずだが、9月14日中の時点ではまだ検知されていない。

●高分九号

中国の発表によると、高分九号は光学センサーを搭載した地球観測衛星で、分解能は最高で1mを上回り、地上を細かく観測することができるという。主に国土調査や都市計画、道路の設計、農作物の生産量の見積もり、防災・減災などに用いられ、さらに中国が進める「シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード」(1ベルト、1ロード」)などの戦略や、国防などにも活用されるとしている。

高分シリーズは、中国が構築を進めている民間向けの地球観測衛星システム「中国高分解能地球観測システム」(CHEOS、China High-resolution Earth Observation System)を構成する衛星で、「高分」とは「高い分解能」という意味をもつ。複数の光学衛星と合成開口レーダー衛星からなるコンステレーション(衛星群)を展開することを目指しているとされる。

CHEOSは2006年に提案され、2010年に中国政府によって承認された。そして2013年4月26日に、光学センサーを持つ「高分一号」が打ち上げられた。高分一号の光学センサーの分解能はパンクロマティックで2m、マルチスペクトルで8mで、また広い範囲を撮影するための分解能16mのカメラも搭載しているとされる。

また2014年8月22日には「高分二号」が打ち上げられている。高分二号も光学センサーを積んでおり、分解能はパンクロマティックで0.8m、マルチスペクトルで3.2mという性能を持つという。

そして2015年6月26日には、番号が一気に飛んで「高分八号」が打ち上げられた。高分八号もまた光学センサーを積んでいるとされ、公開された想像図からも、光学センサーが搭載されている様子が見受けられる。ただし、その性能については不明である。また三号から七号よりも八号の打ち上げが優先された理由も不明である。

また以前中国は、高分シリーズは全7機と発表しており、高分八号、九号が打ち上げられたということは、計画に変更が生じた可能性がある。

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以前発表されていた予定では、「高分三号」は分解能1mのCバンド合成開口レーダーを持ち、2015年中に打ち上げられることになっている。また「高分四号」は静止軌道上から地表を広範囲で観測する光学センサー衛星で、分解能は50m、打ち上げは2015年中に予定されている。

「高分五号」は近赤外光域を観測できるカメラや温室効果ガスの検出器などを搭載した環境観測衛星で、2015年に打ち上げが予定されている。

「高分六号」は一号と同型機とされ、光学センサーの分解能はパンクロマティックで2m、マルチスペクトルで8mで、また広い範囲を撮影するための分解能16mのカメラも搭載されているとされる。打ち上げは2016年の予定。

そして「高分七号」は、ハイパースペクトルの立体地図を作成することができるカメラを持つとされ、2018年に打ち上げが予定されている。

●長征二号丁

長征二号ロケットは、もともと「返回式衛星」(FSW)と呼ばれるフィルム回収式の偵察衛星を打ち上げる手段として、当時開発が進められていた大陸間弾道ミサイル「東風5」を基に造られた。

最初に開発された機体である「長征二号」は2段式のロケットで、地球低軌道に2トンの打ち上げ能力をもっていた。1974年11月5日に1号機の打ち上げを試みるも離昇20秒後に爆発、失敗に終わる。原因はジャイロからの信号を伝達するケーブルに問題があったためと記録されている。

その後、改修を施した「長征二号甲」が登場した。長征二号甲は基本的に長征二号と同じ機体だが、長征二号の失敗の原因となったケーブル部に手が加えられている。1975年11月26日に1号機が打ち上げ成功し、返回式衛星を軌道に乗せた。その後1978年1月26日までに全3機が打ち上げられた後、引退した。

1982年には、打ち上げ能力を高めた「長征二号丙」が登場した。見た目は長征二号、長征二号甲と似ているが、改良により、地球低軌道への打ち上げ能力が2.4トンにまで向上している。返回式衛星などの他、イリジウム衛星など他国の商業衛星を打ち上げるロケットとしても使われ、第3段として固体ロケットを装着した構成や、また近年は打ち上げ能力を4トンまで高めた改良型も登場した。1982年9月9日に初飛行し、現在も活動している。

そして、1980年代中期に開発された改良型の返回式衛星を打ち上げるために、「長征二号丁」が開発された。当初は長征二号丙の開発を担当した中国運載火箭技術研究院(CALT)が長征二号丙の改良型を提案するもコスト高により却下、代わりに上海航天技術研究院(SAST)が提案した案が採用され、これが長征二号丁となった。他の長征二号シリーズはCALTが開発、製造を手掛けているが、この長征二号丁だけはSASTが担当している。

長征二号丁は1992年8月9日に初飛行し、現役である。ただし、当初開発された長征二号丁は1992年と1994年、1996年の3回打ち上げられただけで運用を終え、2003年からは各段の全長が伸び、また尾部にフィンが追加されるなどした、改良型の長征二号丁が運用に就いている。

さらに1990年には、液体ロケット・ブースターと第3段をもつ「長征二号E」が開発された。主に静止衛星の打ち上げを行うことを目指していたが、より高性能な「長征三号」が開発されたことで1995年に早々に引退した。ただ、長征二号Eを基に、有人宇宙船を打ち上げられるように改良した「長征二号F」が開発され、宇宙船「神舟」や宇宙ステーション「天宮」の打ち上げに使用されている。

長征二号シリーズは今回を含め、これまでに86機が打ち上げられ、82機が成功している(衛星打ち上げのみ)。また長征二号丁に限っては今回で23機目となり、すべて成功している。

■我国成功发射高分九号卫星_中国航天科技集团公司
http://www.spacechina.com/n25/n144/n206/n214/c1027202/content.html

Image Credit: 中国航天科技集団公司

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